市場で買い物(コラム)
自転車で5分もかからない近所に、その商店街はある。
平和通り商店街。
武蔵小山、学芸大学、目黒、西小山、どの駅からも徒歩20分以上の陸の孤島にあるその商店街は、とても寝坊助だ。中でも商店街の中心にある鮮魚店と青果店を中心とした市場は、昼の11時を過ぎてやっと開店準備をし出す店が多い。
ただ、その鮮度・質、値段ゆえ、昼頃には近所の主婦と飲食店が大挙して押し寄せ、午後2時にもなると、売り場はすっからかん。
めぼしい魚や野菜を買うには、昼に行くのがいい。
でも、私はこの市場の午後4時がとても好きだ。
夕餉の買い物客もまばらで、ゆっくり売れ残りを見て歩くことができる。
魚屋のおばちゃんと、アレが安いこれが美味いと会話しながら、買い物をする。
イワシ2匹つけとくよ、メカブ100円にしておくから買ってってよ。
そんなやりとりも楽しい。
いつまでも、こんな市場が家の近所に残ってくれたら良いと思って、足繁く通う。
きっと近所の住民はみんなそんな思いでいると思う。
ある日の買い物。
まるまる太って脂ののった新秋刀魚を4匹買ったら1匹おまけしてくれた。
ふわふわのメカジキも大きな4切れが無造作にざるに盛られ、500円だった。
市場ではレジ脇に落ちていたカボスを2つ袋に入れてくれた。
そうそう、この市場は私にいつも「小確幸」を感じさせてくれるんだよね。
柔らかい紅色が塩で濃く締まっていく感じ、好き。
ミョウガと棚ぼたのカボスで仕上げ。
メカジキはカボスをたっぷりしぼった白ワイン蒸しに。
市場のみんなにありがとう。
ごちそうさまでした。