リクエスト、ミネストローネ。(コラム)
ある日の晩、娘に何が食べたいかを聞く。
すると「じゅん君が来なかった日の夜に作ってくれたスープ」という。
はて。
じゅん君が来なくて誰が来ていた?と聞くと、
その日はたくさんの人が来ていて、よく分からないという。
スープに何が入っていたかを聞くと、
タマネギとかブロッコリーとか……
ふむ、分かった。
ここは母の感。
味噌作り教室の終了後、バーニャカウダの残り野菜をスープにしたんだった。
その日は、じゅん君が来ていなかったし、大勢の人が味噌作りに来ていた。
食の細い娘が、そのスープを完食したことも思い出した。
あのスープをリクエストしてくれるとは。
本当に、美味しかったんだろう。
バーニャカウダの残り野菜は再現できないので、春野菜と冷蔵庫の残り野菜で。
新タマネギ、春キャベツ、カーボロネロ、人参、コーン、インゲン、レンズ豆、ブロッコリー。
オリーブオイルで野菜を炒めて、蒸し煮にして、最後に水とローリエ、昆布を入れてクタクタになるまで煮込む。ひとつまみの塩だけで味付け。
これだけでいい。
野菜の旨味と甘み、昆布の旨味と塩気。
食べる直前に粉チーズと、上質なオリーブオイルを回しかける。
「じゅん君が来なかった日の夜に作ってくれたスープ」は、
私が作ったミネストローネだった。
滋味深く、静かなミネストローネ。
このスープをリクエストしてくれた娘。
食が細くて、一日に50回くらい「ご飯たべなさい」と言っているけど、
この子はちゃんと美味しい物を知っていてくれるんだな。
ママは嬉しくなったさ。
また、作るね。