妄想料理(コラム)
料理教室を開いて1年。
食の活動に本腰を入れて1年間。
平日の仕事に加えて、休日はがむしゃらに料理だけを作り続けてきた。
休みなく作り続けて、時々頭がショートすることもあった。
人の作ったご飯が食べたくなることだってあった。
でも、不思議と「作りたい料理がない」という状態にはならない。
毎日毎日、アレが食べたい、コレが食べたい!
アレをこうして、ああしたものが食べたい!
旬のアレをあーして食べたい!
あの店のアレが食べたい!
あの店のアレをこーしたら美味いんじゃないか。
旬のアレをこーしたら美味いんじゃないか。
あーもう、ずっと食べていたい。
食べるために、ずっと作っていたい。
料理教室を始める前は、
私の料理のジャンルを聞かれて
「スパイス&ハーブ料理」
「エスニック&中東料理」
とか言ってたけど
今なら言えるの。
私の料理は妄想料理。
妄想は味の国境を越える。
酒飲みの食いしん坊なら誰もがする妄想を、
私の手を通して、食卓に再現したい。
うん。
ずーっと料理の妄想していたい。
それがやりたい。
今年1年で、凄くたくさんの経験ができた。
来年もまた1年もっともっと経験したい。
そんな私に、皆様、
お付き合いのほど、よろしくお願いいたします!
最後に、去年作った妄想料理、勝手にトップ3の発表(笑)
①牡蠣のグリーンカレー
牡蠣の全てがグリーンカレーの液体に溶け込んでたら、
絶対美味いに決まってる!という妄想を形に。
グリーンカレーペーストを炒る際、ペースト状にした生牡蠣を投入。
仕上げに丸ごとの牡蠣も大量に投入。
そして、ミョウガを散らすのも良いでしょう。
色がキレイだろうなーっていう妄想と、
シャキシャキ感たまらんだろうなーっていうね。
これぞ妄想料理の真骨頂。レシピ名も「タラのあれ」。適当。
テレビで見たポルトガルのリスボンのお料理を妄想した結果⇒記事
③イノシシのタタキと金柑のカルパッチョ
妄想を組み立てる喜びを改めて実感できたお料理
イノシシのやわやわなロースを絶妙なタタキにして、旬の金柑と合わせたい。
ジビエはナッティーな香りがするので、ナッツを合わせてみたり。
臭みに対抗してミント散らしたら?
それを塩と美味しいオイルだけで……。
頭の中の妄想を形にできた喜び。
そして最高に美味しかった喜び。
またこれから1年も沢山妄想します♡
料理は執念(コラム)
先日韓国に行ったのですが、
カンジャンケジャン(간장게장/ワタリガニの醤油漬け)を食べ逃しまして、
それがどうしても悔やまれるのです。
日本に帰ってきても、ケジャン欲は膨らむばかり。
我慢ならず、自分で作ろうと心に誓ったのです。
近所に、飲食店も御用達の魚市場があるので、
この時期、ワタリガニもよく見かけます。
なのに、ケジャンを作ろうと心に決めたその日から、
待てども待てどもワタリガニが市場に入荷しない。
入荷してもオスばがりで…
メスの内子が食いたいんじゃー!!!!(ご乱心)
仕方なく、市場に入荷していた美味しそうなエビさんをお持ち帰りしました。
ケジャンが食べられないなら、
セウジャン(새우장/エビの醤油漬け)を食べればいいじゃない。
というわけで、セウジャンを作りました。
さっそく漬けだれ(양념물/ヤンニョムムルって言います)作りから!
【漬けだれ】大きめの赤エビ15匹分程
醤油 200ml
料理酒 500ml
梅酒 大さじ3(なければ、みりん)
水あめ 大さじ2(なければ砂糖)
玉ねぎ 半分(横に半分に切る)
りんご 半分(薄切りに)
青唐辛子 2本(そのまま)
ニンニク 5粒(皮むく)
ショウガ 5枚(皮付きのまま薄切り)
粒こしょう 5粒
昆布 1枚(表面を拭いて)
ネギ青い部分 1本分
大きな鍋に材料を入れ、強火で沸騰させたら、
弱火で30分ほど煮出します。その後、常温まで自然に冷まします。
その間にエビの下処理を。
エビは殻のまま漬け込む人も多いですが、
私は食べやすさを考慮して、
お腹の殻だけを外し、背わたを取ります。
頭の味噌が美味しいんだから頭は絶対取っちゃ駄目!
清潔なタッパーにエビを重ならないように並べ、
常温に冷ました漬けだれをまんべんなくかけます。
半日〜1日漬け込んだら食べごろ。
仕上げに青ネギを散らして〜
どーん!
エビの種類は、お刺身で食べられる海老なら何でも良いのですが、
甘エビは小さすぎるので漬け時間を2時間くらいに、
今回は手のひらからはみ出るほどの赤エビを使ったので漬け時間は6時間。
大きければ一晩漬け込んでも大丈夫ですが、この辺はお好みですね。
ただし3日以上漬けると、身が溶けてしまったり、とにかくしょっぱいです。
腐る危険性もあるので、セウジャンは2日以内には食べきるようにしましょう。
ご存じの通り、白い炊きたてのご飯に、このタレをかけて食べると最髙〜♡
このたれですが、2日漬けた場合や生臭さが気になる場合は、
エビを取り出して、タレだけを一回火にかけて沸かし、
冷ますことをおすすめします。
このタレだけで、エビはいらない!ってほど美味しいです。
この世の米は、このタレのためにあると思ってる。
ついでに、辛味噌に漬け込むヤンニョムセウジャン(양념새우장)も作りました。
しかも牡蠣も混ぜました(笑)
海の宝石箱やー!
ヤンニョムセウジャンは、醤油のセウジャンと違い、
エビの頭を取って漬け込むので、
余ったエビの頭で、エビ味噌のリゾットも作ったり。
食べたい!という執念が、私に美味しい時間をもたらしてくれたお話でした。
ちゃんちゃん。
セウジャン(エビの醤油漬け)
韓国のエビの醤油漬け。
香味野菜やくだものなどで甘みをつけた醤油だれで
さっと漬け込みます。
去り行く秋刀魚(コラム)
私の一番好きな魚は秋刀魚。
毎年、懐の深さに驚く。
1年中食べられるようで、実は旬は短い。
飯田橋に「秋刀魚」という飲兵衛の聖地がある。
秋刀魚の棒寿司が顔でもちろん美味しいのだけれど、
私はここの穴キューが好きだ。
ごめんなさい。
今年は、ひたすら刺身で食べた秋刀魚。
テリーヌにも、キッシュにもしたかったのに、
旬は去り行く。
ああ、今年もできなかったなぁと思いながら…
冷凍物で練習でもしておくか。
今年の秋刀魚料理で皆の反応が大きかったのが、
軽い酢締めをカボスとミョウガで食べる和風カルパッチョ的なやつ。
思いつきで作ったのだけど、いいねこれ。
私は秋刀魚をさばくのも大好きだし、
塩で締めて身が色付く瞬間も好きだし、
さっと酢にくぐらせる瞬間も好きだし、
皮を剥ぐのも好き。
塩で締めると色付く秋刀魚
ああ、秋刀魚。
今晩は旬の終わり行く秋刀魚が食べたい。