料理は執念(コラム)
先日韓国に行ったのですが、
カンジャンケジャン(간장게장/ワタリガニの醤油漬け)を食べ逃しまして、
それがどうしても悔やまれるのです。
日本に帰ってきても、ケジャン欲は膨らむばかり。
我慢ならず、自分で作ろうと心に誓ったのです。
近所に、飲食店も御用達の魚市場があるので、
この時期、ワタリガニもよく見かけます。
なのに、ケジャンを作ろうと心に決めたその日から、
待てども待てどもワタリガニが市場に入荷しない。
入荷してもオスばがりで…
メスの内子が食いたいんじゃー!!!!(ご乱心)
仕方なく、市場に入荷していた美味しそうなエビさんをお持ち帰りしました。
ケジャンが食べられないなら、
セウジャン(새우장/エビの醤油漬け)を食べればいいじゃない。
というわけで、セウジャンを作りました。
さっそく漬けだれ(양념물/ヤンニョムムルって言います)作りから!
【漬けだれ】大きめの赤エビ15匹分程
醤油 200ml
料理酒 500ml
梅酒 大さじ3(なければ、みりん)
水あめ 大さじ2(なければ砂糖)
玉ねぎ 半分(横に半分に切る)
りんご 半分(薄切りに)
青唐辛子 2本(そのまま)
ニンニク 5粒(皮むく)
ショウガ 5枚(皮付きのまま薄切り)
粒こしょう 5粒
昆布 1枚(表面を拭いて)
ネギ青い部分 1本分
大きな鍋に材料を入れ、強火で沸騰させたら、
弱火で30分ほど煮出します。その後、常温まで自然に冷まします。
その間にエビの下処理を。
エビは殻のまま漬け込む人も多いですが、
私は食べやすさを考慮して、
お腹の殻だけを外し、背わたを取ります。
頭の味噌が美味しいんだから頭は絶対取っちゃ駄目!
清潔なタッパーにエビを重ならないように並べ、
常温に冷ました漬けだれをまんべんなくかけます。
半日〜1日漬け込んだら食べごろ。
仕上げに青ネギを散らして〜
どーん!
エビの種類は、お刺身で食べられる海老なら何でも良いのですが、
甘エビは小さすぎるので漬け時間を2時間くらいに、
今回は手のひらからはみ出るほどの赤エビを使ったので漬け時間は6時間。
大きければ一晩漬け込んでも大丈夫ですが、この辺はお好みですね。
ただし3日以上漬けると、身が溶けてしまったり、とにかくしょっぱいです。
腐る危険性もあるので、セウジャンは2日以内には食べきるようにしましょう。
ご存じの通り、白い炊きたてのご飯に、このタレをかけて食べると最髙〜♡
このたれですが、2日漬けた場合や生臭さが気になる場合は、
エビを取り出して、タレだけを一回火にかけて沸かし、
冷ますことをおすすめします。
このタレだけで、エビはいらない!ってほど美味しいです。
この世の米は、このタレのためにあると思ってる。
ついでに、辛味噌に漬け込むヤンニョムセウジャン(양념새우장)も作りました。
しかも牡蠣も混ぜました(笑)
海の宝石箱やー!
ヤンニョムセウジャンは、醤油のセウジャンと違い、
エビの頭を取って漬け込むので、
余ったエビの頭で、エビ味噌のリゾットも作ったり。
食べたい!という執念が、私に美味しい時間をもたらしてくれたお話でした。
ちゃんちゃん。
セウジャン(エビの醤油漬け)
韓国のエビの醤油漬け。
香味野菜やくだものなどで甘みをつけた醤油だれで
さっと漬け込みます。
去り行く秋刀魚(コラム)
私の一番好きな魚は秋刀魚。
毎年、懐の深さに驚く。
1年中食べられるようで、実は旬は短い。
飯田橋に「秋刀魚」という飲兵衛の聖地がある。
秋刀魚の棒寿司が顔でもちろん美味しいのだけれど、
私はここの穴キューが好きだ。
ごめんなさい。
今年は、ひたすら刺身で食べた秋刀魚。
テリーヌにも、キッシュにもしたかったのに、
旬は去り行く。
ああ、今年もできなかったなぁと思いながら…
冷凍物で練習でもしておくか。
今年の秋刀魚料理で皆の反応が大きかったのが、
軽い酢締めをカボスとミョウガで食べる和風カルパッチョ的なやつ。
思いつきで作ったのだけど、いいねこれ。
私は秋刀魚をさばくのも大好きだし、
塩で締めて身が色付く瞬間も好きだし、
さっと酢にくぐらせる瞬間も好きだし、
皮を剥ぐのも好き。
塩で締めると色付く秋刀魚
ああ、秋刀魚。
今晩は旬の終わり行く秋刀魚が食べたい。
市場で買い物(コラム)
自転車で5分もかからない近所に、その商店街はある。
平和通り商店街。
武蔵小山、学芸大学、目黒、西小山、どの駅からも徒歩20分以上の陸の孤島にあるその商店街は、とても寝坊助だ。中でも商店街の中心にある鮮魚店と青果店を中心とした市場は、昼の11時を過ぎてやっと開店準備をし出す店が多い。
ただ、その鮮度・質、値段ゆえ、昼頃には近所の主婦と飲食店が大挙して押し寄せ、午後2時にもなると、売り場はすっからかん。
めぼしい魚や野菜を買うには、昼に行くのがいい。
でも、私はこの市場の午後4時がとても好きだ。
夕餉の買い物客もまばらで、ゆっくり売れ残りを見て歩くことができる。
魚屋のおばちゃんと、アレが安いこれが美味いと会話しながら、買い物をする。
イワシ2匹つけとくよ、メカブ100円にしておくから買ってってよ。
そんなやりとりも楽しい。
いつまでも、こんな市場が家の近所に残ってくれたら良いと思って、足繁く通う。
きっと近所の住民はみんなそんな思いでいると思う。
ある日の買い物。
まるまる太って脂ののった新秋刀魚を4匹買ったら1匹おまけしてくれた。
ふわふわのメカジキも大きな4切れが無造作にざるに盛られ、500円だった。
市場ではレジ脇に落ちていたカボスを2つ袋に入れてくれた。
そうそう、この市場は私にいつも「小確幸」を感じさせてくれるんだよね。
柔らかい紅色が塩で濃く締まっていく感じ、好き。
ミョウガと棚ぼたのカボスで仕上げ。
メカジキはカボスをたっぷりしぼった白ワイン蒸しに。
市場のみんなにありがとう。
ごちそうさまでした。